「心の病」はきっと嘘。簡単に薬は飲まないで

アスペルガー症候群ADHD、双極性うつ病、自己愛性パーソナリティ障害、統合失調症、…現在、世の中には多くの「脳の病気」「心の病気」が蔓延っています。あなたの身近な人、もしかするとあなた自身もこれらのうちの一つとして診断されたことがあるかもしれません。一度医者から診断されてしまうと、自分も周りも「病気だ」と思い込んでしまいます。しかし、本当に病気なのでしょうか?一時的に気持ちが落ち込んでいるだけなのでは無いのでしょうか。何かしらの診断を受けると何かしらの薬を処方されますがそれは本当にあなたを癒してくれるのでしょうか。。。?

私は、東京大学の、医学部【健康総合科学科】と言う、医学を、臨床よりも社会の視点から、病気よりも健康に焦点を当てて学ぶ学科の出身です。

医者になる訳ではなく(私は行っていませんが看護師の資格が取れるコースはあります)、理Ⅲ出身が集まっている訳でもなく(文Ⅲから理Ⅱまで様々なところから来ています)、4年生で卒業します。卒業後は就職する人、院進する人が半々。学ぶ内容は、社会学、免疫学、疫学統計学、人類生態学、薬理毒性学、分子生物学、保健学と多岐に亘ります。

その中で、「精神保健学」という授業もありました。「精神保健学」の授業では、「ADHD」「自己愛性パーソナリティ障害」といった、脳の病気・心の病気の診断基準が紹介されました。その授業の後、受けた私たち学生の間から「ADHDの基準、私結構当てはまるんだけど笑」「落ち込んでる時は、結構な人がうつ病の診断基準当てはまる気がするんだけど…」との声が上がり始めました。そして、そもそも誰にでも当てはまり得るような診断基準、心の病気・脳の病気そのものの存在を疑問視する空気が、私たち学生の間に流れました。しかし、そのように診断基準が曖昧でも、脳の病気・心の病気には、「抗うつ薬」「向精神薬」といった、治療薬が存在し、診断されたら即薬物療法、という流れに違和感を感じました。

 

私がそもそもこの学科に進学したのには様々な理由がありますが、大きな理由の一つとして、私自身の弟の存在があります。

私の弟は、小さいころからごく普通の、元気な男の子でしたが、中学生のある日、学校に行きたくないと言い出し、不登校になってしまいました。中学校の先生たちから「医師の診断を受けるべきだ」と熱心に説得されるがままに母は弟を病院に連れて行き、そこで弟は「発達障害アスペルガー症候群」と診断されました。それ以降、「発達障害」が私の中で大きなキーワードとなりました。「発達障害って一体なんだろう」「勉強でもスポーツでも私より出来の良かった弟が、なぜ発達障害なのだろう」と、様々な疑問を解消したくて、(医者や看護師になりたい訳でもなく)単純に、「発達障害」の正体を突き止めたくて、この医学部健康総合科学科に進学しました。いよいよ発達障害について学べる、と私はワクワクしており、精神保健学の授業もとても楽しみにしていましたが、衝撃的なことに、その授業で知ったのは、前述の通り、脳の病気・心の病気の非常に曖昧な診断基準と治療法の不確実性でした。

 

どうも腑に落ちなかった私は、学科の海外研修制度を利用して、一人、「発達障害のケアの先進国」ニュージーランドへ一週間赴き、ケアの現場をこの目で確かめに行きました。本当は私が会いたかったのは、日本で急増中の、「うつ病」や、弟が診断された「アスペルガー症候群」の患者さん達だったのですが、どう探しても、そうした人のケアを行なっている施設は見つかりません。どうもおかしいと思ったのですが、きっと、ニュージーランドにはそんな基準が曖昧な「心の病」「脳の病」の患者さんがそもそもいなかったのでしょう。(代わりに、ディスレクシア(読字障害)など自閉症…先天的発達障害者の支援施設は数多く見つかりました。そのいくつかを訪問したのですが、そこで貴重な学びを得られました)

ここで、もしかして、後天的な「統合失調症」「うつ病」と行った病気は、本当は実体は無いのに勝手に診断され(日本)社会が作り出しているものなのでは無いか、という恐ろしい疑いが浮かび上がって来ます。

科学的に裏付けされた根拠もなく勝手に診断され、訳のわからない薬を処方され、ありもしない病気のせいではなく、その処方された薬のせいでどんどんおかしくなっていく…

信じられないかもしれませんが、実はこうした「犠牲者」が、今、世間には多く存在しているのです。その根源には、医者の診断など「専門家の意見」を絶対的なものとする日本社会の構造といった根深い問題があるので、そう簡単に解決できるものではありませんが…

私の弟も、まさしくそうした現状の「犠牲者」の一人です。

次のブログでは、そんな弟の人生について、語ってみようと思います。